アトピー性皮膚炎に良い食事とは
健康的な生活に欠かせないバランスの良い食事
「アトピー性皮膚炎=食物アレルギー」とする考えがあった時期もありますが、現在では併発しやすいなどのリスクはあるものの、まったく別の病気であることがわかっています。生活環境を整える一環として、食事についてもきちんと見直してみると良いでしょう。
アトピー性皮膚炎に限らず、バランスの良い食事が大切
外食が続いたり、偏食したりすると、体の健康を保つ栄養素が不足しがちです。肌の状態はもちろん、体全体の健康を保つためにも、野菜を多く含んだバランスの良い食事を心がけましょう。また、バランスが良いからと言って、食べすぎは禁物です。「腹八分目」など、健康を維持できるちょうどよい量を食べるようにしましょう。
食事するタイミングも重要
規則正しい生活習慣は、健康維持には欠かせません。理想的なメニューでも毎日食べる時間が不規則だと、生活習慣病になりやすかったり、代謝異常を引き起こしたりすることが、わかっています。
ダイエットなどの食事制限は、肌の栄養も不足する
暴飲暴食とは逆に、ダイエットなどを目的とした食事制限は、肌はもちろん、体全体に必要な栄養素が不足することになります。たんぱく質や脂質、糖質やビタミン・ミネラルなど、健康な体を維持するために必要な栄養素をしっかりと取り入れるためにも、無理な食事制限は行わないようにしましょう。
安易な除去食は避ける
アレルギー症状が出るとわかっている食材を無理に取る必要はありませんが、「悪化するかもしれないから」とアレルギー要因ではないものを安易に除去するのはおすすめできません。除去食は、医師の指導のもとで適切に行ってこそ、効果を発揮します。医師としっかり相談しながら進めるようにしましょう。
取り入れる「油脂類」にも注目を
体の健康を保つ栄養素として、炭水化物・たんぱく質・脂肪がありますが、これらは適切な量をバランスよく取り入れることが大切です。体内で生成できない栄養素は、食事によって取り込むしかありませんので、体に良いものを「適量」取るようにしましょう。なお、必須脂肪酸であるリノール酸は、過剰摂取するとアラキドン酸が大量に生成され、アレルギーが促進されると提言が研究者からなされています。食事においては、栄養面、量ともに「適量」を取ることが大切です。
積極的に取りたい栄養とは
肌と腸が関係してくると聞いても、ピンとこないかもしれませんが、腸の環境が良くなることで、アレルギー反応が起きにくくなると言われています。腸に存在する様々な細菌のバランスが乱れると、小腸壁の細胞にすき間が生まれ、本来なら通過できないはずのアレルギー物質や細菌などが血管を通じて体内に取り込まれると考えられています。
腸の環境を整えるには、善玉菌を増やす食材を取ると良いとされています。善玉菌が豊富に含まれる味噌や納豆などの発酵食品はもちろん、善玉菌のエサになる食物繊維・オリゴ糖なども積極的に摂取しましょう。
乾燥しがちな肌をサポートするビタミン類
肌を正常な状態に保つためには、ビタミンを適切に取ることが大切です。バランス良く取り入れるようにしましょう。ただし、食材によっては体に合わないものもありますので、医師としっかり相談しながら進めると安心です。
■ビタミンA:皮膚や粘膜を保護する。不足すると肌が乾燥する。植物性のβカロテンは過剰症の心配がない。
緑黄色野菜全般、ほうれん草、にんじん、トマト、ホウレンソウ など
■ビタミンB2:皮膚や粘膜を保護する。皮膚の新陳代謝に必要で、不足すると肌が乾燥する。
緑黄色野菜(しその葉・ほうれん草等)、納豆、レバー、チーズ、のり など
■ビタミンB6:皮膚の健康を保つ働きを持つ。免疫機能を正常化し、肌を乾燥から守る。
魚類(まぐろ・かつお等)、レバー、鶏肉、にんにく、ピスタチオ など
■ビタミンE:細胞膜の機能を維持する。肌を老化させる過酸化脂質を分解する。
ナッツ類(アーモンド・ヘーゼルナッツ等)、植物油(ひまわり油・ベニバナ油等)、ブロッコリー、モロヘイヤ など
■ビタミンC:免疫機能を増強させる。肌の乾燥を防ぐコラーゲンの生成を促す。
果実類(キウイフルーツ、アセロラ)、パプリカ、ゴーヤー、ブロッコリー、キャベツ など
αリノレン酸などのオメガ3
体を構成するために大切な栄養素の1つである脂質のなかでも、特に注目されているのがオメガ3脂肪酸です。体内で生成することができない必須脂肪酸の1つで、シソ油やエゴマ油などに多く含まれるαリノレン酸や、魚類に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)・エイコサペンタエン酸(EPA)があります。オメガ3は、体内でプロスタグランジンE3を生成しますが、これは抗炎症作用を持っているとする研究結果が報告されています。炎症を抑えることは、アトピー性皮膚炎にとってつらいかゆみの軽減にもつながりますので、注目していきたい栄養素です。
注意したい食べ物とは
外食や購入弁当などは適度に
レストランなどで食べる食事はおいしいですが、油脂や塩分、糖分など自炊で作ったものと比べて多くなりがちです。外食だけでなく、手軽に買えるコンビニやスーパーなどのお弁当も同様です。頻繁になると肌への影響も大きくなってきますので、日頃がんばっている自分へのご褒美として、上手に取り入れるといいかもしれません。
刺激物はかゆみが悪化することも
香辛料などが多く含まれる食事は、食欲が落ちているときには取り入れたくなりますが、刺激物は血流を促進させる効果があり、アトピー性皮膚炎のかゆみを増長すると言われています。
過度なアルコールは肌にも健康にも悪影響
刺激物同様、アルコールも血流を促進してかゆみが増したり、利尿作用で必要な水分が奪われて肌の乾燥が進んだりと、アトピー性皮膚炎の肌には悪化要因になります。ストレス発散で飲酒したとしても、かゆみでストレスが悪化しては本末転倒です。飲酒量や頻度は「適度」にするようにしましょう。
スィーツはほどほどに
子どもも大人も、「スイーツは大好き」という方も多いでしょう。ですが、スイーツには糖分や油分などが多く含まれていることがほとんどで、過剰な摂取は肌だけでなく体にも影響を及ぼします。また、甘いものを過剰に摂取すると腸内環境が悪化し、アレルギー因子が体内に入り込みやすくなりますので、注意が必要です。
見逃しがちな調味料
食材に注意をしていても、調味料は見逃していることも多いかもしれません。大豆や小麦粉などのアレルギーがある場合、調味料の原材料にも目を通しておくと安心です。また、同じ調味料でも、製造方法によっては添加物が多いものもあります。添加物はアトピー性皮膚炎を悪化させると言われていますので、できれば添加物の少ないものを選ぶと良いでしょう。
調味料は料理の中で使うだけでなく、食べる際に好みで足すこともあり、ちょっと足すだけのつもりでも、トータルでみたときに過多になってしまうこともあります。アトピー性皮膚炎に限らず、塩分や糖分などを過剰に摂取するのは健康面からも悪影響となりますので、注意が必要です。
アトピー性皮膚炎で気になる、食事と上手に付き合うポイントとは
和食中心の食生活がおすすめ
食生活の欧米化が進むことで、日本人のアトピー性皮膚炎の罹患者が増加していると言われています。和食は、2013年にユネスコ無形文化遺産として登録され、「健康食」としても注目されています。和食の基本は、栄養バランスに優れた「一汁三菜」で、炭水化物やたんぱく質、ビタミン・ミネラル・食物繊維と、健康な体の維持に必要な栄養素を補うことができます。
また、和食ではお馴染みの納豆やぬか漬けなどの発酵食品は、植物性の乳酸菌を多く含み、腸内環境を整えるのに役立ちます。腸内環境が整うと過剰なアレルギー反応を抑えると言われていますので、積極的に食事に取り入れてみましょう。
「良く噛んで食べる」はアトピー性皮膚炎にも良い
一見、「良く噛んで食べる」こととアトピー性皮膚炎はつながらないようにも思えますが、良く噛んで食べることで消化吸収を助け、胃や腸の負担を軽減することができます。消化吸収が良くなると、未消化のままの食べ物が腸内の悪玉菌の餌になるのを防ぎ、腸内菌のバランスが整って、アレルギー反応が抑えられます。
また、良く噛むことでその刺激が脳にも伝わり、自律神経が刺激されて腸の働きを促進してくれるなど、多くのメリットがあります。しっかりと良く噛んで食べることを心がけましょう。
過酸化脂質を含むレトルト食品やスナック菓子は控えめに
簡単に食事を済ませたいときなどに便利なレトルト食品や、小腹が空いたときに食べたくなるスナック菓子には、過酸化脂質が多く含まれています。過酸化脂質は、中性脂肪やコレステロールなどの脂質が活性酸素により酸化されたもので、生活習慣病などを引き起こす原因としても知られています。アトピー性皮膚炎でも、悪化する要因となることがわかっていますので、控えめにしておくのがおすすめです。
「あれもダメ」、「これもダメ」はストレスにも
アトピー性皮膚炎に罹っていると、様々な行動や食生活が制限されることが多くなります。ですが、「あれもダメ」、「これもダメ」ばかりではストレスが溜まり、別の側面から症状が悪化してしまうことさえあります。医師としっかり相談しながら、制限を最小限にとどめて「おいしく、楽しく食べる」食生活を送れるようにしましょう。
「肌バリア機能を改善」するスキンケアクリームを活用しよう
食生活の見直しはとても大切ですが、同時にスキンケアも怠らないことが重要です。
また、スキンケアをするうえで辛い痒みや肌荒れを応急的に抑えるステロイドや、肌を一時的に保護する保湿はとても大切ですが、それでは根本的な改善に繋がりません。
アトピー性皮膚炎を繰り返さないためには、保湿剤やステロイドの一時的な対処ではなく、「肌バリアを改善」するアプローチが必要になります。
最近では保湿効果だけでなく、「肌バリアの改善」にも効果があるスキンケアクリームが人気です。
「ちゃんと保湿してるのに痒みや炎症を繰り返す、。」「ステロイドに頼り続けるのは不安、。」という方は、
ぜひ「肌バリアの改善」を図るアプローチをとられてはいかがでしょうか?