アトピー性皮膚炎の方が日常生活で気を付けたい点

家の中にある「アレルゲン」を減らしましょう

アトピー性皮膚炎の肌にとって、アレルギー反応を引き起こす物質「アレルゲン」の存在は大敵です。家の中を安心して過ごせる場所にするためにも、しっかりと対策を取るようにしましょう。

室内の悪化要因に多い「ダニ」、「ハウスダスト」、「カビ」
室内のアレルゲンとしては、「ダニ」、「ハウスダスト」、「カビ」が挙げられます。それぞれ対策が異なりますが、清潔な環境にする点では同じです。

目に見えないほど小さな「ダニ」は生きていても死骸でもアレルゲン
ダニは夏場に増えるものと思われがちかもしれませんが、近年では住環境が整ったことから、1年中生息していると言われています。20度から30度程度の室温と50%から70%の湿度が最も活発に活動し、埃やカビ、食べこぼしなどをエサにしており、主に布団やじゅうたん、ぬいぐるみなどに生息します。

生きているダニだけがアレルゲンになるのではなく、死骸や糞などもアレルゲンとなるので注意が必要です。ダニアレルゲンは熱に弱く、水溶性の特性がありますので、お湯での洗濯や水拭きなどが効果的です。こまめな掃除でできるだけダニアレルゲンを少なくするようにしましょう。

「ハウスダスト」は、空気中に舞い上がりやすい
ハウスダストとは、1mm以下の小さな埃やダニ、衣類の繊維のくずなど、目に見えにくいものを指しています。ハウスダストは小さいため、空気中に舞い上がりやすく、呼吸によって体内に取り込まれてしまいます。アトピー性皮膚炎にとって、ハウスダストはアレルゲンとなることがあり、発症や悪化に関わる厄介な存在です。

ハウスダストは、人が活動しているときは空気中を漂い、睡眠中など活動していないときには床に舞い降りてきます。そのため、人が動き始める前の朝一番で掃除をすると、効果的にハウスダストを取り除くことができます。

浴室などにいる「カビ」と肌に潜む「カビ」
湿気の多い浴室などでよく見られる黒カビや赤カビなどの真菌類は、アトピー性皮膚炎のアレルゲンとなります。浴室以外でも、日当たりの悪い部屋や空気の対流が少ない部屋なども、カビが発生しやすい環境です。また、洗濯機の中もカビが発生しやすい場所ですので、注意が必要です。せっかくきれいに洗濯したつもりでも、カビだらけの水で洗っていてはアレルゲン対策にはなりません。

黒カビや赤カビ以外にも、アトピー性皮膚炎に影響を及ぼす真菌(カビ)もあります。皮膚の常在菌であるマラセチアは、正常な肌や免疫力であれば何の問題もありません。ですが、マラセチアのアレルギーがあったり、肌のバリア機能が低下している状態だったりすると、菌の数が急増して、アトピー性皮膚炎を悪化させると言われています。マラセチア菌によるものの場合、抗真菌剤などの外用薬を使うことで、症状の改善が図れます。

ペットがアレルゲンとなることも
大切な家族であるペットも、体質によってはアレルゲンとなることもあります。犬や猫などの体毛や唾液、フケなどの上皮によってアレルギー症状を引き起こすことがあり、注意が必要です。アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐためにも、飼うのはできるだけ避けたいところです。

室内のアレルゲンを効果的に減らすには

「ダニ」、「ハウスダスト」を軽減する「掃除」
室内のアレルゲン対策として最も効果的なのが「掃除」です。毎日掃除機をかけたり、水拭きをしたりして、できるだけアレルゲンとなるダニやハウスダストを減らしましょう。掃除機は排気によって、ハウスダストが舞い上がりやすくなりますので、まずはフロア用モップなどで床に舞い落ちているハウスダストなどの汚れを取り除き、そのうえで掃除機をかけるのがおすすめです。掃除機は、丁寧・静かにかけるようにしましょう。

カーテンやクッションなどには埃やダニ、花粉などのアレルゲンが溜まりやすくなるので、こまめに洗濯すると良いでしょう。できるだけ掃除しやすいように、余分なものは片づけたり、処分したりして、掃除の負担を軽減させるのも1つの手段です。

ダニが繁殖しやすい布団は、天日干しや布団乾燥機でしっかりと乾燥させ、乾燥状態が苦手なダニの活動を抑えましょう。布団を取り込む際に布団たたきなどでたたく方もいらっしゃいますが、それよりも取り込んだ後の布団に掃除機をかける方が、効果的にダニやハウスダストを駆除できると言われています。布団干しや掃除機で、アレルゲンをしっかりと減らしていきましょう。

「カビ」対策には、換気も大切
カビを発生させる大きな要因は「湿気」です。換気をしっかり行い、室内に湿気がこもらないようにしましょう。部屋の窓や扉を2か所以上開けることで、効果的に空気が入れ替わります。梅雨時期の湿気が多いときだけでなく、冬場の室内外の温度差が大きいときには、窓やサッシが結露し、カビを発生させることがあります。窓やサッシの結露を拭き取ったり、結露防止グッズを活用したりして、カビが発生しにくい環境を整えましょう。

免疫力を高めるために!生活リズムを整える

人間の体には、約24時間周期の生体リズムである「体内時計」があり、昼間に覚醒して活動しやすくしたり、夜間は体を休めるために睡眠を促したりしています。この体内時計が生活習慣などによって崩れてしまうと、様々な悪影響を及ぼすことがわかっています。体内時計をより良い状態で機能させるためには、生活リズムを整えるようにしましょう。

規則正しい生活は免疫機能を正常化する
睡眠や食事の時間がバラバラだと、生活のリズムも大きく崩れていきます。生活リズムが崩れると、自律神経が上手く働かなくなり、体にある様々な器官の調節や制御が取れずに、疲労感や頭痛がしたり、肌トラブルを引き起こしたりします。平日休日に限らず、起床時間や食事の時間などをおおよそ一定にすることで、生活リズムが崩れにくくなります。

睡眠不足は肌にも体にも大きな負担
心や体の疲労を回復する睡眠は、健康を維持するためにはとても大切です。睡眠時間が短かったり、質の悪いものであったりすると、体が十分に休まらずに様々な不調の原因になります。体に負担がかかっている場合、まずは弱いところに影響が出ると言われています。アトピー性皮膚炎の場合は、肌のバリア機能が低下して炎症が進んだり、感染症にかかりやすくなったりするリスクも十分に考えられますので、質の良い睡眠をしっかり取るようにしましょう。

適度に体を動かすことで、心身の健康を守る
アトピー性皮膚炎の場合、「汗でかゆみが出るから」などの理由で、体を動かさない生活をされている方もいらっしゃいますが、汗そのものは肌を健康な状態に保つためには必要なものです。適度な運動は、汗をかいたり、体全体の機能を高めたりするためには大切です。家の近所を散歩する、ラジオ体操をしてみるなど、簡単なことからでも構いませんので、体を動かす習慣をつけるようにしましょう。

バランスの良い食事で悪化させない対策を
アトピー性皮膚炎に限らず、暴飲暴食や偏食は体に様々な不調をもたらします。体の健康には、必要な栄養をバランス良く取ることが欠かせません。一汁三菜の和食などは、炭水化物・たんぱく質・ビタミン・ミネラルの栄養素や、腸内環境を整える食物繊維も取りやすく、健康的な食生活にすることができます。おいしく食べて健康な肌を実現しましょう。

手軽に食べやすいスナック菓子やレトルト食品は、添加物が入っていることが多く、アトピー性皮膚炎の肌には、あまり適していません。食べるなら「たまに」、「ほどほどに」を基本にして、食べすぎには注意しましょう。また、アルコールは血流が促進されたり、利尿作用で体内の水分が減少して肌乾燥が進んだりと、かゆみが増すことが多いので注意が必要です。

夏に気を付けたい点とは

日焼けは肌へのダメージ! 刺激の少ない日焼け止めで対策を
春から夏にかけて、紫外線の量は大幅に上がっていきます。長時間強い紫外線を浴びることによって、正常な肌でも日焼けをして肌にダメージを受けますが、アトピー性皮膚炎の肌にとってはより強いダメージにもなります。紫外線が多い時期は、屋外では衣服や帽子で肌の露出をできるだけ抑えたり、日焼け止めを使ったりして、肌への影響をできるだけ軽減すると良いでしょう。

日焼け止めの表示で見かける、SPF(UVB防御指数)とPA(UVA防御指数)ですが、これらの数値が高いものほど、紫外線からの影響を軽減してくれます。ですが、その分使用されている成分は刺激が強いものが多くなっています。せっかく日焼け止めで紫外線の影響を防いでも、刺激成分で肌の状態を悪化させては意味がありません。できるだけ刺激の少ない成分のものを使い、SPF20前後、PA++程度までのものにして、肌への負担の少なくしましょう。

汗をかいたらなるべく早くにシャワーでかゆみを抑える
夏は気温が高く、運動などをしていなくても汗をかきます。汗自体は体に良い影響を与えるものですが、汗をそのまま放置してしまうと、かゆみがひどくなったり、「あせも」や「とびひ」の原因になったりします。汗をかいたら、なるべく早くシャワー浴をしたり、濡れたタオルで優しくぬぐったりして、肌を清潔な状態に戻すようにしましょう。

「あせも」や「虫刺され」など、アトピー性皮膚炎以外の皮膚トラブルにも注意
夏の肌トラブルで多いのが、「あせも」や「虫刺され」です。正常な肌であっても、悪化するとさらなる肌トラブルを引き起こす原因になることがありますが、アトピー性皮膚炎の肌にはもっと大きなダメージになることがあります。かゆみが強くなることで、掻きむしってしまい、肌のバリア機能が低下したり、感染症に罹患したりする場合があります。こまめなシャワー浴や虫よけスプレーなどを活用して、肌トラブルを防ぐようにしましょう。

冬に気を付けたい点とは

乾燥はアトピー性皮膚炎の大敵
季節柄乾燥しがちな秋から冬は、正常な肌でも乾燥が進み、かゆみや肌トラブルを引き起こします。アトピー性皮膚炎の肌は、元々乾燥していてバリア機能が低下している状態ですので、さらに乾燥してしまうと、症状が悪化することにもなります。空気が乾燥している中、寒いからと言ってエアコンなどを使いすぎると、さらに肌が乾燥する原因になります。空気が乾燥しない暖房器具を活用したり、直接温風が体に当たらない位置においたりするなど、体が冷えずに適温で生活できるような工夫をしてみましょう。

冬場の冷たい水では、洗濯洗剤が衣類に残って刺激に
普段使っている低刺激の洗濯用の洗剤も、冬の冷たい水では溶けにくくなり、洗濯物に石けんカスが残りやすくなります。石けんカスなどの残留物は、肌への刺激となり、かゆみが増したり、炎症が進んだりすることがありますので、注意しましょう。洗濯機の種類によっては、水温を上げる機能が付いたものがありますので、活用してみるのもおすすめです。

発熱系のインナーは肌が乾燥しやすいので注意
近年多くの衣料品店で見かける発熱系の機能性インナーは、化学繊維が使用されていることが多く、静電気で肌の乾燥や刺激を引き起こし、アトピー性皮膚炎が悪化する要因になることもあります。薄くても暖かい、機能性インナーは便利な存在ではありますが、自分の肌に合うか、素材などを確認したうえで使用すると良いでしょう。

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